美味しい焼肉を「美味しく食べる」ための居心地と、2年でゼロから築いた私たちの文化

こんにちは、「世田谷家系焼肉 壺ほる」店主の奥野です。

早いもので6月もあっという間に過ぎ去り、いよいよ本格的な夏が始まろうとしています。

飲食業界では一般的に苦戦しやすいと言われる6月ですが、おかげさまで「世田谷桜本店」そして「北烏山店」ともに、本当に多くのお客様にご来店いただき、目標を大きく上回る賑やかな一ヶ月を終えることができました。

ご来店いただいた皆さまには、心から感謝申し上げます。

さて、今日は「世田谷桜本店」の定休日。

少しお店の喧騒から離れ、両店舗のスタッフたちに向けた日報を書きながら、ふと過去の記録を読み返していました。

すると、あまりのタイミングのシンクロに、思わず鳥肌が立ってしまいました。

実は、ちょうど8年前の同じような時期、2018年7月2日の本店の内部日報を見つけたのです。

そこに書かれていた私のコメントが、こちら。

「えー、日本が負けて頭真っ白なので書くことが思い出せない。……ドーハの悲劇のときと同じくらいのショック。真っ白だ。今はエンドロールが流れている。しばらく日本代表が残してくれたW杯の余韻に浸っていたい」

驚きました。

実は昨晩もサッカーの日本代表戦(対ブラジル戦)を観戦していたのですが、まさに今の私の心境と1ミリのズレもなく全く同じだったからです。

今回の戦いも前半は本当に完璧で、胸が熱くなりました。

だからこそ、あの幕切れには言葉を失い、久しぶりにサッカーを見て涙を流してしまいました。

これほど悔しい気持ちになったのは、それこそ「ドーハの悲劇」以来かもしれません。

まだ頭の切り替えが追いつかず、ニュースの失点シーンを直視できないほど胸を締め付けられていますが、それほどまでに私たちの心を揺さぶり、熱くさせてくれた代表選手たちには、心からの「ありがとう」と「お疲れ様でした」を伝えたいです。

(ちなみに、最近お客様やスタッフから「佐野海舟選手に似てますね!」と立て続けに言われます。

昨日は代表ユニフォームを着て応援していたので、余計にそっくりだったかもしれません、笑。

ここからまた4年間、全力で応援していきたいですね。)

こうした熱い勝負の余韻に浸りつつ、改めてお店の歴史を振り返ると、私たちの「こだわり」と「人づくり」の根底にあるものが、より一層深く見えてきました。

「美味しいものを食べたい」のではなく、「美味しく食べたい」

先日、北烏山店にお越しいただいたお客様から、本当に嬉しいアンケートをいただきました。

「タン好きの息子は柔らかくて満足できました。また食べたくなる味です」

「店員さんの接客がとても良く、終始気持ち良く食事できた。味は値段以上にとても美味しい」

「店員さんがとても丁寧で明るくてとても良いです!家が近いので沢山食べに来ます」

実はこの日、メインでホールを担当していたのは、一番最近入ったばかりのアルバイトスタッフでした。

まだ入社して間もないスタッフが店頭に立っても、お客様からこれだけ温かいお言葉をいただける。

これは、決して偶然ではありません。

私がいつもスタッフの面接時から伝えている大切にしている想いがあります。

それは、「お客様は美味しいものを食べたいのではない。美味しく食べたいのだ」ということ。

もちろん、私たちがご提供しているお肉には絶対の自信があります。

信頼する業者さんから仕入れる完全無投薬の「朝採れ新鮮ホルモン」や、断面に角が立つほど極上鮮度のレバー。

そして、果実の旨みたっぷりの「秘伝の自家製タレ」とそれを良い美味しく食べていただけるようこだわって炊いている白米。

しかし、どんなに素晴らしい食材があり、ガスロースターの鉄板で旨味を閉じ込めてお肉を焼いたとしても、店内の照明が暗かったり、煙が顔に当たり続けたり、何よりスタッフの接客がおざなりであれば、その味は半減してしまいます。

来店が多くてお店がどれだけ忙しくなっても、お客様が「我が家のように」リラックスして、笑顔で網を囲める空気感を作る。

それこそが、私たちが掲げる「家系焼肉」の真髄です。

時代に合わせた「新陳代謝」と、ゼロから1を築くストーリー

8年前の本店の日報をさらに読み進めると、当時、3年以上ぶりに足を運んでくださった懐かしいお客様とのエピソードが残されていました。

久しぶりの再会はとても嬉しかったものの、お会計のときにお店が「全面禁煙」に変わっていたことや、時代に合わせた価格改定があったことで、お客様が少し戸惑われている様子が伺えたのです。当時の私は日報にこう書き残していました。

「数年も経てば店内環境も変わる。そして客層も変わる。そうやって新陳代謝していかなければ店は生き残れない」

冷たく聞こえるかもしれませんが、これは飲食店を長く守り続けるための現実だと思っています。

世田谷の住宅街という落ち着いたエリアで、食意識の高い大人層やファミリー層の皆さまに、本当に「美味しく食べていただく」ためには、煙の出にくい環境の徹底管理や調光、そして何よりクリーンで安心できる空間づくりが欠かせません。

そしてこの「居心地の良い文化」は、一朝一夕でできるものではありません。

北烏山店の2年前の創業期の日報を読み返してみると、そこには初々しくも頼もしい、チームの原点が残されていました。

まだオープン前の研修期間、1時間を超える衛生管理講習の動画を、みんなで必死にメモを取りながら見ていました。

そして動画が終わった瞬間、誰に言われるでもなく自然と拍手や礼のリアクションが沸き起こりました。

さらに、本店にはないカウンター席での鉄板交換について、「どうすればお客様を危険な目に合わせずに安全に交換できるか」を、若いスタッフたちが自分ごととして必死に話し合っていました。

何もなかったゼロの状態から、知恵を出し合い、改善を積み重ね、2年をかけて「接客が良い店」という看板を自分たちの手で作り上げてきた。

私は日報の中で、若い彼らにこう伝えました。

「このストーリーは、絶対にこれからの人生(就活など)で活きる。むしろ、これを活かせないようでは……ね(笑)」

世の中の多くの企業が求めているのは、自分で考えて自主的に行動できる人材です。

AI(人工知能)には決して作れない、自分自身の泥臭い経験から来る言葉には、圧倒的な重みがあります。

「壺ほる」でのアルバイトを通じて、ただお金を稼ぐだけでなく、社会に出たときにどこでも通用する「強い人間」に育ってほしい。

そんな親心のような想いを込めて、私は毎日、2店舗分の日報を1文字1文字、自分の手で書き続けています。

(まあ、たまにモチベーションが切れて1ヶ月くらい休んじゃうこともありますけれどね、笑)。

「みんなで見ると、本当に楽しいね」

一方で、どれだけ年月が流れても「絶対に変わっていない大切なもの」があります。

8年前のあの夜、私はワールドカップの歴史的な一戦を、お店のメンバー(当時のスタッフたち)と一緒にテレビの前で観戦していました。

ゴールが決まった瞬間、全員で狂喜乱舞したあの夜。日報にはこう結ばれていました。

「うちのメンバーと見れて良かった。全員で盛り上がった。幸せな時間だった。来てくれたメンバーありがとう。みんなで見ると本当に楽しいね」

この一言に、私が「壺ほる」を経営する理由のすべてが詰まっています。私はずっと、お客様にとっても、働くスタッフにとっても「温かい居場所」でありたいと思いながら、お店を守ってきました。

オープン前、勤務日でもないのに深夜に相談に駆けつけてくれたスタッフがいたり、オープン初日には何年も前に卒業した本店のOB・OGたちが平日にもかかわらず応援に駆けつけてくれました。

卒業してもなお、こうして気にかけて集まってくれる。

日本の人口1億2000万人の内で一生のうちに出会う人は平均約3万人程度と言われています。約0.024%の確率。

だからこそ、この縁を大切にしたいし、私がこれまで経験してきた「社会で生き抜く術」は、できる限り次の世代へ手渡していきたい。

直接言うとお説教っぽく聞こえるから、毎日日報という文章にして、受け取り方は彼らにお任せしています。

お店の環境やメニューは時代とともに新陳代謝を繰り返していきますが、この「人と人が繋がる温かさ」という壺ほるの文化だけは、これから先、何年経っても、どれだけ店舗が増えても、絶対に変わることはありません。

今夜も、我が家のような温もりを

サッカーの余韻で少し胸がいっぱいですが、お店の仕込みには一切の妥協はありません。

信頼する業者さんから毎日仕入れる、完全無投薬の新鮮な「朝採れホルモン」。

部位ごとに丁寧に下処理を施し、果実の旨みを凝縮させた「秘伝の自家製タレ」にじっくり漬け込んだ自慢のカルビやハラミをご用意して、今週も皆さまをお迎えいたします。

仕事帰りにふらっと暖簾をくぐる夜も、ご家族での賑やかなお食事も。

まるで実家に帰ってきたかのような安心感と、どこか懐かしいガスの炎を囲む時間を、ぜひ楽しみにいらしてください。

20時30分からは、毎日恒例のドリンクメガサイズ無料アップの「ハッピーナイト」も開催しております。

悔しい夜を乗り越えて、また明日から頑張る皆さまのエネルギーになれるよう、最高の笑顔とお肉をご用意してお待ちしております。

皆さまのご来店を、心よりお待ちしております。