僕の原点と壺ほるの歩み(2)

失敗から学び、成長した「壺ほる」

最初の1年間はまさに混迷の連続でした。

経営も販促も素人で、失敗ばかり。

「家賃の10倍の売上」という基本すら知らず、

資金も底を尽きかけていました。

転機はお客様の「安すぎるよ」という一言。

思い切って値上げを決断し、

「安さ」ではなく

「選ばれる理由」

を真剣に考えるようになりました。

オープン直後のメニュー

2年目にはLINE公式アカウント導入、

和式トイレの洋式化、

写真入りメニューブックの作成など、

限られた資金の中で小さな改善を積み重ねました。

写真入りに変えたメニュー

そして出会ったのが飲食コンサルの河野祐司さん。

■飲食店痛快ゼミ

「美味しいは当たり前」

「魅力づくりが大事」

という言葉に背中を押され、

価値づくりへの挑戦が始まったんです。

3年目には「恒温高湿庫」導入による鮮度管理、

メニュー刷新などで家賃の10倍売上を初達成できました。

特に飲食店セミナーでお話を聞かせていただいた店舗プロデューサーの斧隆幸さんの 

「お客様は美味しいものを食べたいんじゃなくて、美味しく食べたい」

という言葉が大きな気づきでしたね。

この言葉は今でも僕の店作りの真ん中にあります。

導入した恒温恒湿庫
常に一定の温度と湿度を保つことで、
品質を安定して管理できるように

空間・サービスを含めて

“体験”としての焼肉を提供する視点が、

ようやく芽生えた瞬間でした。

当時の「壺ほる」は、僕を含め全員が未経験の素人集団でした。

飲食店のイロハを知らないからこそ、

「お客様に喜んでもらうにはどうしたらいいか」

という本質だけを問い続け、

サービスを向上させることに注力しました。

お客様との会話の中で、

「食べにくい」

という声があればメニューの切り方を変える。

「匂いが気になる」

という声があれば換気を改善する。

ダクト設置前の店内
ダクト設置後の店内

些細なことでもお客様の声を真摯に受け止め、

即座に改善を重ねていきました。

この「お客様の声から学び、改善する」姿勢こそが、

「壺ほる」の成長を支える最大の原動力だったと思います。

4年目以降は、外部のコンサルタント会社と共に再構築を推進。

1万時間の法則というのがあります。

「ある分野で一流になるには1万時間の継続的な練習が必要とする考え方」です。

毎日10時間以上年間3000時間以上、3年間自力で10,000時間やってきました。

少しは飲食店のことがわかるようになったからこそ、

プロの手を借りて成長を加速させたいと考えコンサルタントの方と契約しました。

そのお陰もあり「ICEレモンサワー」などのヒット商品も生まれ、

業態もホルモン専門店から「家族で来やすい焼肉店」へと進化しました。

初期のレモンサワー
焼肉メニューも充実させるように

その後も壁紙の張り替え、

大型モニター設置、

CTIシステム導入など、

サービス品質と快適さの向上に努めました。

2019年にはアルバイト時給を当時の近隣最高水準にし、

常連の娘さんがスタッフとして加わるなど、地域との絆も深まりました。

「信頼できる店」として、ようやく一つのかたちになったと感じています。

初期メンバーはお母さんに
婚約者を連れてOGが来てくれました
卒業式に来てくれたOB
最初の常連さんのお子さん
最近でも時々手伝いに来てくれます

次は世界中の動きを止めたコロナ禍の話です。